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三菱自ブランド再び失墜…変わらぬ企業体質 補償負担、国内販売さらに苦戦か

三菱自動車が20日に燃費試験データを不正に操作していたことを発表し、再びブランドが失墜する事態になった。影響は対象車両の購入者をはじめ、車両を供給している日産自動車などにも及ぶ。過去の度重なるリコール(回収・無償修理)隠しでは、破綻寸前に追い込まれた。「お客様第一の組織」(幹部)に生まれ変わるため、組織改革を進め、業績も持ち直していたが、今回の不正で全てを失いかねない。

 

 「一つずつ石垣を積み重ねるように改善してきたが、全社員にコンプライアンス(法令順守)を徹底する難しさを感じている。無念で忸怩(じくじ)たる思い」

 

 記者会見で相川哲郎社長は声を詰まらせた。2000、04年と相次いだリコール隠しでは、幹部社員の関与など構造的な隠蔽(いんぺい)体質が発覚した。このため、社内横断の品質担当の部署の設置や内部通報制度の整備など、品質問題に力を入れてきた。

 

 だが今回、不正を防げず、発覚も日産の指摘がきっかけ。自浄作用がはたらかない、変わらぬ企業体質を浮き彫りにした。現時点では「当時の実験部長が『私が指示した』と言っている」(幹部)としており、「経営陣からの圧力はない」(同)という。ただ、昨年には新型車の開発状況を正確に報告しなかった担当者を処分したケースもあり、目標達成を強いるプレッシャーが組織にあった可能性もある。

 

 一方、業績の悪化も無視できない。相川社長は「問題がどこまで広がるか全貌が見えない。かなりダメージは大きい」と述べた。日産向けを含めて約60万台の対象車のオーナーに加え、日産への補償なども必要。対象車の販売休止で岡山県の工場のラインも休止するため、地域の雇用や部品メーカーにも影響が及ぶ。ブランドイメージは悪化し、苦戦する国内販売のさらなる減少が想定される。

 

 不正行為の発覚を受けて、既に20日の東京株式市場では三菱自の株価が急落。前日比131円(15.2%)安の733円まで売られ、年初来安値を更新した。売り注文は主要な株主にも広がり、三菱重工業は2.5%安、三菱商事は0.5%安で取引を終えた。リコール隠しで経営危機に陥った三菱自は、三菱商事など三菱グループの支援を受け、海外販売の強化や商品ラインアップの見直しなどを加速。15年4〜12月期に営業利益が過去最高になるなど、回復軌道に戻ったかのようにみえていた。

 

 自動車業界では、昨年秋に独フォルクスワーゲン(VW)が米国で排ガス規制を逃れるためディーゼル車に違法ソフトウエアを搭載していたことが発覚。トップが引責辞任し、販売減なども起きている。

 

 ディーゼル車については日系メーカーで同様の不正はみられなかったが、今回、三菱自が燃費試験データで不正をはたらいていたことが発覚し、業界全体の信頼を失う可能性もある。記者会見で相川社長は、自身の進退について明言を避けたが、益子修会長を含め、経営責任の問題は避けられない。失ったものはあまりに大きい。(田村龍彦)